随感随筆

日々感じたことを

ジブリを通して見た自然観

日本アニメ界の巨匠といえば誰もが認める宮崎駿監督
日本人ならまず知らない人はいないでしょう。

数年前に引退を宣言されてから、次の日本アニメを引き継ぐのは「君の名は」で一躍有名になった新海誠監督なのではないかと噂されているようですが、
今年に入ってから宮さんが長編アニメの制作に取り掛かったというニュースを耳にしました。何度も引退宣言をされてきた宮崎監督ですが、年齢的にも考えて次の長編映画が本当に最後の作品になるとみて間違いないでしょう。

 

自分はジブリ作品の中でも特に自然を題材にしたものが好きです。

今年の春に,家の裏にひっそりと暮らしている狸が赤ちゃんを産みました。時々母が動画を送ってくれるのですが、本当に可愛いんですよ。動きが幼気なくてコテッと転んだりと和やかな時間が流れていて、健やかに成長してほしいなぁと願っています。

 

狸たちが環境開発によって住処を奪われていく様子を描いた平成狸合戦ぽんぽこ

終盤に正吉が出てきてこういいます。

「テレビや何かでいうでしょ。開発が進んで狐や狸が姿を消したって、あれやめてもらえません。そりゃ確かに狐や狸は化けて姿を消せるのもいるけど、でもうさぎやイタチはどうなんですか」

裏の狸たちにいつも癒やされているのでよけい感情移入してしまって、うるうると目頭が熱くなりました。

 

そして、平成狸合戦ポンポコで舞台となった多摩ニュータウンは、開発された後

耳をすませば” で雫と聖司が住んでいる街となります。(聖蹟桜ヶ丘

なので、平成狸合戦ポンポコの一番最後のシーンと、耳をすませばのオープニングにでてくる夜景が同じなんです。

そして、月島雫が大人になって著した本が猫の恩返しなのだそうです。

 

個人的に、ジブリの自然に対する主張はものすごく共感する部分があります。

中でも、もののけ姫はとてもメッセージ性が強い作品だと感じています。
サンが自然を代表する存在で、たたら場が対立する人間を表しており双方をつなぐのがアシタカという少年。自然と人と共存共栄するにはどうしたら良いのか考えようと問題提起しています。

 

ジブリの教科書10 もののけ姫 (文春ジブリ文庫)

ジブリの教科書10 もののけ姫 (文春ジブリ文庫)

 

 アシタカが暮らしていた蝦夷族の森は世界自然遺産白神山地で、シシ神の森は屋久島をモデルにしていると言われています。白神山地にはブナなどの広葉落葉樹林が多く自生している。2つの地域は、気候も風土も異なるので、作中に出てくる植物の描写に若干違いがあるそうです。

この本の中でとても興味深かったのが照葉樹林文化というキーワード

西日本には照葉樹林という光沢のある葉を持つ常緑樹の山々を称してそう呼ぶらしいですが、実はこの森インド北部のヒマラヤ山脈からブータン、ネパールと東シナ海沿岸にかけて広がる森は西日本の山々と同じ照葉樹林なのだそうです。そしてこの照葉樹林はそこに住む民族にある共通した食文化をもたらしたという説があります。

 日本 ネパール ブータンに共通する食文化
納豆って日本だけじゃなかった?!
などなど興味深い内容がたくさん書かれているので気になる方は一読することをおすすめします。

栽培植物と農耕の起源 (岩波新書 青版 G-103)

栽培植物と農耕の起源 (岩波新書 青版 G-103)

 

 今日の人の存在は,自然の脅威となっている感じが否めませんが、照葉樹林文化という枠組み一つを見てわかるように 元来、人も他の生き物と同じように自然に育まれ、自然と共存し、自然災害で命を奪われ、感謝と畏怖の念を持ち生き続けてきたんだということ。ジブリは子供をから大人まで幅広く愛されると同時にたくさんの問題提起をし続けてきました。金曜ロードショージブリが放送されたときには作品に込められたメッセージを探してみるのも面白いのではないでしょうか。

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